マイ・スウィート・ビーンズ

齋藤崇治。東大博士課程で政治学を研究しています。

国内研究者外貨支払い問題 (2021/3/26更新)

研究者はなんだかんだ国際的な仕事である。修士・博士課程でも国際学会への参加することはもはや珍しくない。在外研究することもある。

 

そのため、外貨で支払う機会が多い。とはいえクレジットカードがあれば、私のように国内にいることが多い研究者の外貨支払いはそれで済むし、済ませている人は多いだろう。

 

しかし、クレジットカードには外貨支払いに際しての為替手数料が存在する。今回は、この為替手数料から逃れるための苦闘を紹介したい。なお、基本的に今回は主要通貨(特にアメリカドル)について紹介する。

 

結論から言うと、おおよそ2ポイントは得になる計算である。まぁ、そこまでして為替手数料から逃れるメリットはないのかもしれない。なお、海外送金の場合はTransferwise、現地通貨受け取りの場合は現地口座開設の方が簡便であろう。

transferwise.com

 

研究者が外貨を支払う場面

研究者が外貨を使う場面は意外と多い。比較対象が商社マンでもない限り研究者はなんだかんだ海外出張も多い(多かった)。研究者が外貨を使う場面はいくつかある。

・国際学会のメンバーシップ、学会参加、投稿料

・在外研究、国際学会などの滞在費、ビザ申請費

アメリamazonからの取り寄せ

TOEFLGRE、博士課程出願などの受験料

・外国の新聞(New York Times etc.)

そして、これらの支払いにおいて最も簡便な方法は、クレジットカードで支払いを済ませることである。クレジットカードには外貨決済機能がついており、ドルで支払った翌月、円で支払った他の買い物と合計して合わせて円で請求してくれる。余計な手間を一切必要としない点で非常に良くできたサービスだと思う。

 

しかし、良くできたサービスである分、コストがかかる。クレジットカードの外貨決済には通常為替手数料が加えられている。私が愛用するカードであれば、2.2%である。無論、多いとは言え外貨を使う場面が限られる研究者であれば、この2.2%はご愛嬌であろう。しかし、毎年国際学会のメンバーシップを支払うなどしていれば、この額は案外馬鹿にならない。

 

また、支払いがカードではなくPaypalの時も注意が必要である。Paypalでは外貨支払いの為替手数料が3.5%とやや割高である。

 

そして、支払い額が為替レートの影響をもろに受けることになる。つまり、円安のタイミングで支払いが行われるとその分支払いが増えることになる。それも避けたい。

 

しかし、博士課程留学でもしない限り、現地の銀行で口座を作るほどでもない。また、アメリカの銀行では口座維持費用が発生するため、若手研究者向けではない。例えば、私の口座の場合、1500ドル以上口座になければ、月々で使用量が差し引かれる。

 

このような時、日本を拠点に活動する研究者はどうすれば良いだろうか。

 

解決策:マルチカレンシー口座と対応デビットカードを作る

さて、このコストを浮かせる最も簡単な方法は、マルチカレンシー口座を作り、それに対応したデビッドカードを作ることである。マルチカレンシー口座とは、円のみならず外貨での預入にも対応した口座のことを言う。若手研究者には敷居の高いものもあるが、ネット銀行であれば、維持費がかからないことが多い。そして、マルチカレンシー口座を提供する銀行は、多くの場合デビットカードの海外利用を売りにしている。

 

この方法のメリットは、マルチカレンシー口座の為替手数料はクレジットカードの為替手数料より安いと言う点である。例えば、ソニー銀行であれば、円ドルの為替手数料1ドルで15銭であり、海外でのデビットカード利用に費用がかからない。1ドル100円だとすると、0.15%の負担である。クレジットカードと比べればその差は2.05ポイントである。そして、Paypalも(注意が必要だが)マルチマネーカードでのドル支払いが可能だ。Paypalはドル同士の支払いであれば追加の手数料は発生しない。そのため、差は3ポイント以上ある。 

 

moneykit.net

 

また、為替の影響を受けにくいと言う点も大きい。もし資金に多少余裕があれば、円高のうちに使う外貨を購入しておき、円安時に備えると言う方法も可能である。

 

また、手数料はサービスによって異なるが、現地ATMで比較的安価な手数料で外貨を引き出すことも可能である。しかし、場所によってはほとんどデビットカードで決済できたため、このサービスは使わなくて済む。そのため、滞在先がどの程度カード対応してるかは事前に調べておこう。

 

無論、外貨を使った余りはそのまま貯金しておけば良い。また、マルチマネー口座は(少なくともアメリカでは)大きな負担なくATM取引できるので、余った紙幣を帰国前にATMに預けることもできる。微々たる差ではあるが、外貨普通預金、外貨定期預金は円普通預金、円定期預金に比べて利子がやや高い。また為替差益(円高で買って円安で売る)も追求できる。

 

マルチカレンシー口座、デビットカードの注意点 

1 隠れたコスト

無論、マルチカレンシー口座&デビットカードでも隠れたコストに気をつけなければならない。マルチカレンシー口座&デビットカードで気をつけるべきは以下の2点だ。

・外貨にするための為替手数料
・外貨決済の事務手数料

為替手数料は概ねネット銀行であれば安い。中には1ドル1円のところもあるので注意しよう。ただ、それでも一般クレジットカードやPaypalの為替手数料に比べれば安い。また、意外と分かりにくいのが外貨決済の事務手数料だ。例えばある会社は、デビットカードでの外貨決済を謳いながら事務手数料が3%と高めに設定してある。

 

その点ソニー銀行は為替手数料、事務手数料の双方で極めて優秀だ。為替手数料はドルであれば1ドル15銭と極めてリーズナブルだし、外貨決済の手数料は一切かからない。なので、外貨アクティブユーザーであればソニー銀行を勧める。

 

ちなみに私は経路依存の問題でSMBC信託銀行のPRESTIAを使っている。ネット銀行ではないこともあり為替手数料は1ドル1円と高い。しかし、月々積み立てる分には為替手数料はタダになるので、正しく使えばソニー銀行よりお得だ。また、外貨決済手数料が0というのが極めてポイント高い。

www.keisoshobo.co.jp

www.smbctb.co.jp

  

2 マルチカレンシ口座デビットカードが使える範囲(大きな問題ではない)

オンラインサービスでクレジットカード・デビットカードを使う時、アメリカで発行されるカードしか使えないと言う場合がままある。例えば、私の経験では、現地の某宅食サービスや一部レストランのオンライン注文、一部新聞の購読、一部レストラン、交通用プリペイドカードへのチャージにおいてこのカードが使えなかった。この場合は素直にアメリカの銀行口座に紐づいたデビットカードで支払うことにした。(無論、ごく一部なので素直に円建てクレジットカードや用意しておいた現金でで支払うのも十分アリだろう。)しかし、Amazonや地元スーパーなど多くの場合問題なく使えるので問題にはならないと思う。

 

一方で、月単位の滞在の場合、家賃の支払いも契約の形式によっては注意が必要だ。カードやPayPalに対応している場合はデビットカードで問題ない。しかし、個人契約で口座への振り込みを求められた場合、国内マルチカレンシー口座から送金するのはかえって手数料がかかる。特に、マルチカレンシー口座のドルはこのような場合手数料的に使い物にならない。この場合は、すでに紹介したTransferwiseを使って送金するのが正解だ。そして、transferwiseはドル同士では使えない。つまり円から送金することになる。そのため、外貨を用意する前に、家賃の支払い方法だけは確認しよう。

 

3 外貨預金のポータビリティと投資の問題

そして、国内の外貨預金の最大の問題はポータビリティである。つまり、外貨の場合国内銀行間の移動は困難であり、また外国への送金も外貨の方がかえって割高になると言う問題が起こる。そのため、一度外貨にしたら、そのまま使うか、再び手数料を支払って円に戻すかしかないことが多い。そのため、外貨決済しやすい銀行を選び(ソニー銀行やPrestia)、必要以上に外貨を買わないと言う姿勢が重要になるだろう。

 

また、外貨アクティブユーザーとして理想的な銀行と外国株投資家として理想的な銀行(証券)は残念ながら一致しない。ソニー銀行やPrestiaはいずれも投信の販売などしかしておらず株式投資はできない。株式投資でよく使われる楽天証券SBI証券の提携銀行は外貨アクティブユーザーとして見た場合手数料で難が多い。そのため、外国株投資をする人は株式投資用の口座と外貨決済用の口座は分けるべきだろう。

 

また、外貨預金を投資として考えた時にパフォーマンスが悪いという問題がある。外貨預金で得られる利益は多くの場合、為替差益である。円高時に買って円安時に売れればそれだけで一定の投資にはなる。しかし、投資パフォーマンスとして見た時に、為替差益のみというのは非効率である。そのことを踏まえれば、外貨支払い用の外貨は必要最低限にして、「超えた分を別途支払うのは仕方がない」という割り切りが必要になるだろう。この点については以下の記事を参考にして欲しい。

my-sweet-beans.hatenablog.com

 

 

まとめ

以上、外貨支払いの手数料を抑える方法を紹介した。若手研究者の場合、外貨使用の多くはクレジットカードを使える場面である。そうであれば、マルチカレンシー口座デビットカードはそのまま使える。ある程度貯金のある人は、将来の支払いに備えて一部を使用外貨で貯金しておくのも一つの手であろう。そして、外貨アクティブユーザーにはソニー銀行を勧めたい。